「新聞は支配階級のもの」と日召  一人一殺 50

2006年08月29日

 言論機関は
すべて支配階級の掌握するところなるのみならず、
言論等の合法手段によりては、彼らに何らの痛痒を感ぜしめ得ざるをもって、

 被告人ら同志において、自ら支配階級覚醒のため、
非合法手段に訴え、
現状打破に従事し、
もって革命の捨て石たらんと決意し…


 1934年(昭和9)11月22日、
東京地裁であった血盟団暗殺事件の判決言い渡しで藤井裁判長が読み上げた判決理由の中に、
 井上準之助・團琢磨暗殺が起きた74年前(昭和7年)の
言論機関、
 すなわち新聞に対する井上日召の考えが示されている。

血盟団 顔一覧 6.27用.jpg
(写真をクリック)

 「言論機関はすべて支配階級の掌握するところ」

 「言論等の合法手段によりては、彼らに何らの痛痒を感ぜしめ得ざるをもって…」

 翻訳すると、

 すべての言論機関は、支配階級に掌握されている。
 だから新聞・ラジオ(当時、テレビはなかった)は、支配階級が困るようなことは書かない。

 だから、

 腐敗した政財界の改革が必要なことを、
国民に、言論という合法手段でいくら訴えたって、
支配階級・特権階級の人々は痛くもかゆくもない。

 改革も出来ない。

 だから私たちは、
 暗殺という非合法手段をとって、
国民に社会改革の必要に気づいてもらうため、
捨て石になろうと決めた、
 というのだ。

 日召ら、血盟団の被告たちは、
政財界・支配階級の大物たちの暗殺のニュースが与える衝撃、
それにつづく裁判での発言を通じて、

 新聞記者たちをはじめ衆人環視の中で、
政財界の腐敗を明らかにし、

 その解決が必要なことを訴えるため、
捨て石(犠牲)になる決意だった。

 目的はそれ以外になかった。

 血盟団被告14人に対する公判は、
東京地裁で計91回開かれた。

 公判では、日召ら被告たちが一人一殺のテロルに駆り立てられた背景の事情が詳しく示された。

 日召らが把握していた、
政財界・支配階級の腐敗の実情が示されると、

 日召らが暗殺へと駆り立てられた、やむにやまれぬいきさつがやがて広く理解された。

 14被告への同情が広がり、
助命嘆願書が、全国の30万人以上の人々から東京地裁に寄せられた。

 藤井裁判長が、
判決言い渡し後の発言の中で思わず泣き出したのは、

 助命嘆願書を出した30万人と同じような思いにとらわれていたのかもしれない。

 「言論機関はすべて支配階級の掌握するところ」
という日召の判断は的確だった。
今も変わらない。

 筆者はそう思う。

 現代の支配階級とは、

 毎年何千億円もの広告費を、
新聞・テレビ・ラジオ・インターネットなどに注ぎ込む大会社や、
 テレビ・ラジオ放送の許認可権を握る政府・自民党の政治家・役人、
ついで衆参両院の国会議員、マスコミに登場する有名人など。

 それにメディアや広告会社なども当然加えられる、

と考えていいだろう(ほかにもあるがきりがない)。

チルドレンな日本=本表紙.jpg
(写真をクリック)

 最近、
「チルドレンな日本」(香山リカ、佐高信著=2006年7月1日、七つ森書館発行 ¥1400)=写真上=の中に、
次のようなやりとりを見つけた。

佐高 ……トヨタ自動車は大スポンサーですから、テレビも新聞もトヨタを批判することはできません。批判できるのは「週刊金曜日」くらいなんです(笑い)。

 木村拓哉がレーサー役で主演していた「プライド」(フジテレビ、2005年)というトヨタがスポンサーとなっているドラマがあるんです。レーサーだから当然レースに出るはずなんですが、そのドラマにはレースの場面がないんです。

レースをやるといろんな車が一緒に走るので、ほかの会社の車が映らないとおかしいのですが、トヨタ以外の車を映すわけにはいかないという理由なんですね。

 水を差すようですが、木村拓哉が好きでドラマを見る人もそういうことも分かって見てほしいですね。……
(153ページ)


佐高 …本当に、テレビには幇間(たいこもち)みたいのばっかりいますね。「朝まで生テレビ」には1回しか出ませんでしたが、終わるとなごやかに酒を飲むんですよね。

香山 そうなんです。オウム真理教と幸福の科学だけは「そんな会に出られるかと言って帰った。あれは本物だ」とテレビ朝日の人が言ってました。

佐高 さっきまで言い合ってたのに、私は信じられなかったですね。

香山 そうですね。「ちょっと言い過ぎちゃって」「いやいや分かってますよ、お互い様です」とか言って。そこを中継すればいいのに(笑い)。……
(118〜119ページ)


香山 朝の番組で、「愛国心を憲法に盛り込むのは是か非か」という話になって、私と井筒和幸監督がノーの立場で、イエスの立場の勝谷誠彦さんや三宅久之さんなどとやりあったんです。
 そのコーナーが終了してCMになったら勝谷さんが、
「ああ、面白かったね」と、もう終わったようなことを言ったんです。本気じゃないんだなと、すっごく腹が立ったんです。……
(116ページ)


佐高 ……私が学生時代にベトナム戦争があり、日本テレビが「ノンフィクション劇場」で「南ベトナム海兵大隊戦記」(1965年4月)を放送したんです。アメリカ軍兵士が、いわゆるベトコン兵士の首をちょん切って、その首を持った映像が撮られたんです。
それを、当時の佐藤栄作首相がこういうものをテレビで放映してはならないとして問題にしたんです。茶の間でごはんを食べながら見ているんだから、そういう残酷なものを放映するのはいかんと。
残酷と言ったって、現実はもっと残酷なのに、テレビでつくられた現実だけを、としたんです。

香山 テレビ向きの現実だけを放映しろということ?

佐高 そうそう。テレビにはそういう怖さがあるんじゃないかな? 一時期はそういうことも言われたけど、いまはまったく聞かれなくなりましたね。
(145ページ)


posted by Jiraux at 23:08 | Comment(0) | TrackBack(3) | news 日々憤怒
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